ワケアリ夫婦っ!!
「………例え、どうだったとしても。俺は奈央が選んだ答えなら、間違ってるなんて思わないから」
「日向………」
「だから、聞かなくても分かるよ。こうして奈央が今俺の腕のなかにいる。それだけで、もう何もいらねぇよ」
「………っ……」
ずるい、反則だ。
こんな時に、そんなこと言うなんて。
「もしかして、泣いてんの? 泣き虫奈央」
「なっ……泣いてないもんっ」
すると、くるっとあたしを自分のほうに向かせて、顔をのぞきこむ。
「泣いてんじゃん」
「うるさいっ、バカ日向!」
「あ! バカはないだろ!」
「バカバカバカ日向っ!」
「あー、もう黙れ」
「んっ………」
そのまま、強く唇を重ねられ、黙ってしまうあたし。
でも、あたしも日向と同じだよ……。
こうやって、日向の腕のなかにいられるだけで。
もう、何もいらないんだ。

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