幕末怪異聞録



四日後―――……



「さて行くか。」


「そうだね。」


風呂敷をしょって、立ち上がった。


玄関先には幹部連中がぞろぞろと……


「時雨!てめぇ出立は延ばすと言ったじゃねぇか!!」


原田はでかい声を出して、時雨の頭を鷲掴みにして上から睨んだ。


時雨はその手を疎まそうに払いのけた。


「延ばしただろ…。

一日。」


「一日だあ!?寝言は寝て言え!一日なんて延びてねぇだろうが!!」


「うるせぇんだよ!筋肉馬鹿!!黙って見送れ!」


あまりにもガミガミ言われるもんだから時雨が逆にキレてしまった。


そんな二人を鎮めたのは永倉だ。


「二人共落ち着けって!
左之、時雨が行っちまうんだから大人しく見送ってやろうぜ?」


「だがよう……。」


納得いかない原田は罰が悪そうに頭をかいた。



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