幕末怪異聞録
『では、いただくとするか。』
手にしていた肉を食べようと口を開いた。
その瞬間―――……
ザシュッ!!
『な……に…?』
西沢の心の臓に脇差しがぶすりと刺さったのだ。
西沢が正面を見据えると、時雨が起き上がっており左手には鞘が握られていた。
「――おい。心の臓に届いたか?変態野郎が!!」
ドサッ!!
西沢は膝から崩れるように倒れた。
『クソッ!だが、この血を飲めば――!!』
手に着いた癒やしの力のある時雨の血を飲もうと、腕を引き寄せようとしたが――
ガシッ!
「誰が飲ませるか。馬ー鹿!」
それを足で踏みつけ、阻止したのは狼牙だった。
「残念だったな、西沢。地獄に堕ちて苦しめ。」
時雨の言葉を聞いてもなお西沢は笑みを浮かべていた。
『時雨、貴様の血肉を求めているのは俺だけじゃないぞ?
これで長州にも知れ渡った。これからが大変だぞ。精々もがくのだな。』
そう言い残して西沢は灰となったのだった。