幕末怪異聞録
「ーーーー大体っ!お前が斬られるから悪いんだろう!!」
「一体何の話をしている。」
「山崎君に馬鹿にされた話をしてるんだよ。」
「ますます意味が分からん。」
新選組は本拠地を伏見奉行所に移していた。
時雨と沖田は野次馬精神で伏見に来ていた。
そこで偶然出会った斎藤はいたって元気なようで、山崎に馬鹿にされたことを沖田にバラされたのだった。
「ーーそれより近藤さんがいないようだけど、どこかに行ってるの?」
近藤が好きな沖田は久しぶりに顔を見たくてウズウズしていた。
「近藤局長なら軍義のため二条城に行っている。じき帰ってくるだろう。」
「いないのか……。」
斎藤の言葉を聞くと沖田はつまらなさそうに口を尖らせた。
そしてクルリと回り、時雨の腕を掴んで「もう帰ろっか。」と歩き出そうとしていた。
しかし、時雨は腕にグッと力を入れた。
「……いや。今晩はここにいる。」
「なんで?」
「んー……。なんか、ここにいた方がいいような気がするんだよな。私の気分だ!土方に話してくる。」
不思議そうな顔をする沖田にニコッと笑い時雨はその場を後にした。
「……。」
この時、時雨はただならぬ不安感でいっぱいだったのだ。