幕末怪異聞録


部屋を出ると丁度土方が部屋に戻ってきた所だった。



「お疲れ様~」
とだけ言って灰鐘は通り過ぎようとした。



「お梅さんとこに行ってたのか?」


「まぁ、仕事だからな。」


それを聞いた土方は頭をかきながら灰鐘から目を逸らした。


「すまねぇな…。こんな男所帯に…。
俺ら新選組のやったことだがよぉ、お梅さんには悪いと思ってんだ。
なんとかして助けてやってくれ。」


まさか土方から謝罪等の言葉が聞けるとは思っていなかったため灰鐘は目を見開いて驚いた。


「まさか謝罪の言葉を言われるとは思っていなかったな…。

お梅は助ける。
新選組の事は知らねえがな。」


クスクス笑う灰鐘に、土方も自然と表情が緩んだ。


「そうだ。お梅さんも重要だが、屯所内のあやかしはどうなんだ?」


思い出したように口を開いた土方に灰鐘は、前川邸を見た。


「私の存在にビビったのか弱小妖怪は出て行ったよ。
屯所内の空気も私がある程度まで浄化したから、とりあえずは心配いらねぇよ。」


それを聞いた土方は「そうか。」と安心して、灰鐘に挨拶をして自室に入っていった。



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