ベンニ
「ベンニ。探してたのよ。どこに行ってたの。」


レネはなるべくベンニの機嫌を損ねないようにさりげなく言った。



「…。」



ベンニはあたかもそこにレネがいないかのように振る舞っていた。



レネはおそるおそるベンニの後ろにまで行った。


「この前言ったでしょ、今日がキャンプの出発日だって。テレビなんかを見ている暇はないわ。さあ、急いで、ベンニ。」



ようやくベンニがレネと口をきいた。レネを見ようともしない。


「行かない。」



レネは心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
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