青騒-I SAY LOVE-

こっちの垂れ耳ウサギ(小)も円らな瞳で俺に訴えている気がする。


『私を買ってちょうだい』って。


よっしゃ、買っちゃる! 俺はお前を買うぞ!

だがしかし、俺はお前のために買うんじゃなくっ、彼女のために買うんだ! 覚えとけ!


……って、ナニ、心中でぬいぐるみとテレパスしてるんだろ、俺。ある意味痛いぞ。
 

とまあまあ、阿呆なことはこれくらいにして、俺はこっそりとココロが欲しいであろうぬいぐるみを手に取った。
 

棚に並べてある人形達を眺めているココロに、「手洗い行って来るから」此処で待ってて欲しいと頼み込む。

「はい」ココロは笑顔で承諾。

すぐ戻るから、と言いつつ気付かれないよう俺はレジでお会計を済ませる。

幸いな事にココロ、ずっとぬいぐるみコーナーでぬいぐるみを眺めていたから、俺のお会計姿には気付かなかった。


ホッと胸を撫で下ろしながら、俺は店員から商品を受け取って、彼女の下に戻る。



ふっ、と俺は足を止めた。

向こうには彼女がいる、商品であるぬいぐるみ達に向かって綻んでいた。

その綻びに俺は、言いようのない思い出が蘇ってくる。


それは、俺自身あんまり思い出したくない思い出。
どんな思い出って言われたら、うーん、これって特定する思い出じゃあないんだけど。

 
(ココロはヨウの事が好き、そう…思い込んでた時期があったんだよな)

 
いつからだったっけ、ヨウに嫉妬していたのって。

ココロのこと、やんわり好きだなぁ、意識しているなぁって思っていた頃からあいつに嫉妬していたのかもしれない。

しょーがないじゃないか、あいつ、顔も性格も好いから、どうしても嫉妬対象になっちまうんだって。
 


そういえばこんなことがあった。


あれは、なんでもないある日のこと。


俺はいつもどおり、スーパー近くの倉庫裏で皆とたむろっていた。まだあの頃は日賀野達と対立していたから、対日賀野チームについて話し合っていたんだ。

んで、一区切り付いて各々の時間を過ごしていたんだけど―――…。
 
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