青騒-I SAY LOVE-


誰も知らない、二人だけの時間に見せる姿。表情。その気持ち。

どれを取っても俺達にとってはくすぐったいもので、キラキラと輝いた宝石のように価値のあるもの。

それを繋ぎ合わせると宝石よりも勝る高価な装飾品になるに違いない。

「ねえケイさん」

瞑っていた瞼を持ち上げる彼女の睫が震えた。

「なに?」

顔を覗き込むと、丸び帯びた柔らかい声質が俺の鼓膜を波打たせる。
  

「私、少しはあの頃よりケイさんに見合う女の子になれているでしょうか?」
 

それは俺にとって今更過ぎる質問で、きっとココロには大切な問いかけなんだろう。

黒色(こくしょく)に澄んだガラス玉を見つめると、彼女の意思の宿ったそれが俺の瞳に返される。純粋にガラス玉が綺麗だと思った。

「見合うというより」

俺はココロじゃないとヤダ、きっぱりと言い切ってみせる。

五十嵐戦で迫られた古渡の選択肢、ココロを救い出せるであろう(本当に救えていたかは謎いけど)選択肢さえ一蹴してしまったのだから。

古渡の彼氏になるくらいなら、俺はフリーの身でいいとさえ思ったよ。

ココロを傷付ける選択肢を、どうしても選べなかった俺がいたんだ。どうしても。


「ココロを危険にしてしまったけど」


でも、ココロならきっと大丈夫だと思った。

だってココロは弱くない。強くもないけれど、弱くもない。

そう信じていたから。


まあ、そう信じてはいたけれどあの時は不安でしょうがなかった。

危険な目に、酷い目に遭っていないかと不安に駆られて駆られて。


仲間達があの時は支えてくれたけれど。
 

「俺こそさ」


見合うか分からないよ。


またいつか、ココロを危険な目に遭わせるかもしれない。俺はかの有名な不良の舎弟だから。

嗚呼、時々肩書きが重く思える。
これは誰のせいでもない、俺の手腕がないせい。弱いせいだ。

強かったら、また違う感情を抱く俺がいたと思う。

片隅で普通の、それこそ舎弟も何もない俺だったら、こんな不安も抱かずにいたのだろうか?


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