超ショートNovel's



あたしが彼に出会ったのは、桜が満開の春。


高校の入学式の日、初めてバスに乗って登校した。

その時にたまたまあたしの斜め前に座っていたのが彼。



あたしはその名前も知らない彼に一目惚れしちゃって……

その彼に“バス男”と勝手に名前を付けた。



いつしかこの時間が毎日の楽しみになっていた。


そんな生活が一ヶ月程続いていたある日、

「ここ、座ってもいい?」

例のバス男があたしに話し掛けてきた。


「ははははいっ!!!だだだ大丈夫ですぅ!!」


「どう見ても大丈夫そうに見えないけどなぁ。」


彼は苦笑いしながらあたしの隣に座った。


ち、近っ!!

心臓バクバク、視界グルグル。


正直言ってもう倒れそうだった。


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