届かない、先生《短編》
次の日から、急に森山先生の指に輝く結婚指輪が気になりはじめた。

そしてその日は、席替えだった。
私は真ん中の1番前。
秀くんは隣の列の1番後ろ。

私は先生と1番近い席だったのだ。
「遠いなあ」
森山先生は私が席につくなり言った。
私は頷いた。

その日の掃除の時、秀くんが女の子に囲まれて話していた。
分かってる、国語のグループ学習で秀くんは、女の子ばっかりのグループなんだ。

だけど、そっちを見てしまう。
亜希はゴミ捨てに行ってていない。
どうすれば良いかわかんなかった。

見たくないと思うのに、どうしてもそっちを見てしまう。
正直泣きそうだった。
亜希が早く帰って来ないか。とばっかり思ってた。

その時私の前に誰かが立った。
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