心友。~友達の彼氏をスキになった。~
雨の御堂筋は寒い。
体の芯から冷え切っていく。
それでも胸の中には悟のひたむきな思いが伝わって来て、藍の心を熱くさせていた。
悔しくて言いたいことがたくさんあった筈なのに、後ろからマリアに抱き締められて何にも言えなくなってしまう悟…。
あんなに人通りの多い中、悟はマリアを抱き締め、熱く唇を重ねていた。
もういっぱいいっぱいでマリアのことしか目に入らなかったのだと、その心の動きを自分のことのように感じてしまう。
マリアもマリアなりに悟のことを好きなのは友達だから知ってはいるが、あまりに不公平だと藍は思う。
(明日ユキに言い付けて、二人でちょっとマリアを叱ったらなあかんな)