しろとくろ。




私が産まれたとき
パパは凄く若かった。

ママは学校の先生で
パパは生徒。

その話を聞いたとき
『ロマンチックだね』ってママに言ったら
苦笑を返された。


『若すぎたのよ』


本気の恋をすると周りが見えなくなるんだって。

だから、周りに反対されても

どんなに厳しい生活だとわかっていても

パパとの未来を選んだんだって。


『パパとママにとって
 雪奈は本当に宝物なのよ』


そう言って笑った顔を今でも覚えてる。

病院の真っ白な壁と、夕焼けと、ママの黒くて長い髪が凄く綺麗だった。


ママがいなくなって、もう何年も経っちゃった。

「今日の髪型にすると
 ほんと楓(カエデ)さんにそっくりだよねー」


パパは、私がどんどんママに似てきていると
嬉しそうに話す。

私が高校に上がった頃から
『パパ』と呼ぶのを嫌がって
名前で呼ぶのを望んだのも
きっとママと私を重ねてるからなんだと思う。





ねぇ、隼人

私は隼人のことが大好きなんだよ?

家族としてじゃなく
できるなら恋人になって欲しいぐらいに



一緒にいられて幸せだけど

好き過ぎて、辛いんだよ




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