恋愛中!!! ㊤巻
「はぁー…」



「大きなため息ぃー。幸せ…逃げちゃいますよ。」



「俺は今どん底にいますから。お気遣いなく。」



肩を落とす俺の顔を覗き込み、ピッと人差し指を立てる彼女。



「どん底…じゃあ後は這い上がるだけですね。底が無いならこれ以上落ちることはありませんよ。」



「ソーデス…ネ。」



ニッコリと微笑んむ彼女に、俺は適当に返事する。



今はまだため息しか出ないけど、彼女の笑顔に救われているのは確か。



“好き”と言われるたび、ほんの少しだけだけどくすぐったいのは確か。



でも、彼女には可哀想だが、俺は未だに葉月が好きだ。



俺は彼女越しに葉月を見ているんだ。



彼女が時折見せる悪戯な笑みは葉月そっくり。



だから俺は言われるがまま彼女の手をとってしまう。



まったく、血の繋がりというものは恐ろしい限りだ。




To be continued...

< 15 / 103 >

この作品をシェア

pagetop