恋愛中!!! ㊤巻

・彼女の涙は『毒物指定《取扱い注意》』

「芽依子ちゃーん!!告白の返事はー?」



「あー…無理。」



「なんでー?」



「だってあたし、彼氏いるもん。」



「あー。生徒会長だっけ?」



「知ってんなら…キャッ!!」



夏休み目前のよく晴れた日の放課後。



本日最後の授業…水泳の時、プールの更衣室にうっかり目薬を忘れてしまった俺は、その帰り道、たまたまそれを目撃してしまった。



「離して…よっ!!」



「あんな普通の奴の何がいいの?俺のがいい男じゃん。」



「はぁ?自分でいいオトコとかマジナイから。ちょっと顔が良いからって調子に乗りすぎだと思いまーす。」



「うるせー!!その口塞いで黙らせんぞ!!」



「うっわ。キモッ!!」



体育館の裏側というベタな場所で、彼女が他の男に腕を掴まれている。



まったく、ベタすぎて開いた口が塞がらない…いやいや、「うっわぁ…。相変わらず毒吐きまくってんなぁ…」と若干引き気味で呟いてしまったが、目の前の現実はそれどころではない。



「っ!!テッメェ…」



「キャッ!!」



その男にグイッと腕を引かれた彼女は、そのまま体育館の壁を背に押さえつけられてしまったのだ。

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