恋愛中!!! ㊤巻
後ろからは追いかけてくる葉月の声が聴こえる。



周りは教室から出てきた人だらけ。



誰かの肩に肩をぶつけても気にかける余裕なんてない。



あたしは人混みを縫うように中庭へと向かった。



息を切らし、周りの皆と同じように見上げた先には、目的の人どころかまだ誰もいない。



でも最上階の、3階の渡り廊下には丸まったままの垂れ幕と拡声器。



会いたい…。



声が聞きたい…。



「ちょっ、待ってってばっ!!」



「ゴメン…。」



「てか、生徒会が何かするってことは淳も出てくんのよ!!会ってどーすんの!!」



「ん。」



「梨花!!アンタ、顔も見たくないって言ってたんだよ!!ちょっと、聞いてんの!!」



「ん。」



葉月の言いたいことは分かってる。あたしもそのつもりだったから。



だからあたしの意志が鈍らないよう、気持ちが揺れないよう、全力で止めて貰えるように葉月には全てを話した。



でも無理だった。



声を聞いただけで、こんなんになっちゃう。



会いたくて、会いたくて…涙が出そう。

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