恋愛中!!! ㊤巻

･こゆびの約束

「うっわぁー！すっげー人。」



「……だな。」



「お前、顔色ヤバくね？」



「……ゲロ吐きそう。」



「便所行け、便所…って、あ～…残念。もう時間だ。ってことで、男ならゲロぐらい耐えてみせろ。根性出せ。んでもって、それでも無理なら飲み込め。」



「………」



「ケンちゃん…」



ワイワイガヤガヤと賑わう校内。



チラリと下を見下ろせば意外や意外。中庭には人、人、人の群れ。



その文化祭を彷彿とさせるお祭り騒ぎの最中、俺は１人その場にうずくまりながら、こみ上げてくる吐き気と戦っていた。



まぁ、あんな放送の後だ。興味本位の奴らがある程度集まるとは思ってた。



一応、それなりに覚悟はしてた。



でもこの人集りは…



「……ウプッ。」



俺的に想定外。



こんなはずじゃなかったー！！と、声を大にして叫びたい。ってか、愛を叫ぶ前に、うっかりこの気持ちを叫んでしまいそうなぐらい、俺は精神的に追い込まれていた。