超草食な僕とギャル彼女。
出逢い
僕はとある高校に
この春入学したばかり。



毎朝、大好きな電車に
乗って通っている。



今まで僕は恋なんて
したことなかったけど
この春、僕は恋をした。



毎朝、同じ電車に乗る子。
電車に乗ってからずっと
ケータイをいじっている。
明るめの茶色い髪は
クルクル巻いていて
その耳にはピアスが
ついている。
僕とは釣り合わない
ようなタイプ。



名前も学校も学年も
何もわからない。
僕はその子に近づきたかった。



ある日、その子が
優先席に座って
大きな声で電話していた。


「ははっ!まじ?」
「ウケる〜」



次の駅で杖をついた
お婆さんが乗ってきた。
だけど、席はすべて
埋まっている。
さっきまで新聞を読んでた
サラリーマンは即座に
寝たふりをした。



電車が発進した揺れで
お婆さんが倒れてしまった。



「大丈夫ですか?」



僕が話しかけると
お婆さんは



「すみませんねぇ…」



と申し訳なさそうに
深くお辞儀をした。



僕は知らんぷりをする
他の人が許せなかった。
電話が終わり脚を組んで
座っていたその女の子に
話しかけることにした。



「あのさぁ…」



「…何?」



不機嫌そうに
がっつりメイクした目で
睨まれる。



「ちょっと席を譲って
もらえない?」



「いや、いいんですよ」



お婆さんがまた申し訳
なさそうにお辞儀をする。


「いや、よくないです」



そう言って、またその子に
話しかけた。



「席、譲ってくれない?」



すると、その子は



「譲ればいいんでしょ!?」



とだけ言って、別の車両に
行ってしまった。



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