君を想うとⅢ~True love~

今だけは流されて。

桐谷慎と私しかいない、小さな真っ暗闇の密室。



部屋の中に香るマルボロの煙。
フゥーと煙を吐き出す、彼のセクシーな声。




姿は見えない。
だけど桐谷慎がどんな表情をして私を見てるのかは…よくわかる。



きっと試すような、探るような目をして私を見てる。
きっとジッと見つめてる。




「高宮。
お前は…誰かが側にいなきゃ立ち上がれない、そんな弱い女だったか??」





桐谷慎はそう言って、ハァと小さくため息を吐く。




「俺と藤堂と2人の間で悩みながらも自分の答えを見つけようとする高宮を俺はキレイだと思った。」


「……。」


「泥水にまみれても何度も何度も立ち上がる高宮を俺はキレイだと思った。逞しくてズルくて、でも自分の気持ちに正直に生きようとする高宮伊織が…俺は強烈に好きだったよ。」







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