君を想うとⅢ~True love~
恐る恐る、手を伸ばしたカバンの中の携帯電話。
“桐谷慎”の名前を呼び出して、発信ボタンを押す。
あぁー!!何て言おう!!
『ちょっと人身事故に巻き込まれましたので遅れます…』??
それとも
『人身事故を引き起こしましたので遅れます』…???
えぇーっ!!?
どっち!!???
こんなおバカなことを考えて、テンパリながらコール音が鳴るのを待っていると。
『お客様のおかけになった電話番号は現在使われておりません。
もう一度番号をご確認になって……』
やっと繋がったと思った、電話から聞こえたのは、無機質な女の人の機械音。
う…そ…!!!!!
なんで!?
確かめるように何度も何度もかけた桐谷慎への電話は
結局1回も繋がらず。
同じような機械音だけが
何度も何度も流れ続けたのだった……。