闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
ゆっくりと足を進め、銅像の前に立った。


「やっと本性を現しましたね 」


後ろから声が聞こえて、振り向くとレーアがこちらを見ていた。


本性・・・?


「あなたの目的は、始めからその水のクリスタルだったのですね 」


水のクリスタル・・・!


その光輝く貝殻は、まさに皆が探し求めているクリスタルの1つ。


私は思いがけない出来事で、空いた口が塞がらない。


「知らない。 何のことか分からない」


私は首を横に振りながら、後ずさりする。


どうしてここへたどり着いたのか、何が引き寄せたのか分からない。


「信じられるものか。 その指輪、拝見させて頂いたところ、クリスタルではないかしら? 誰から奪い去ったのか知らないけれど、あなたはとんでもない者のようね 」


そう鼻で笑うと、私の手首を掴み指に触れた。


ビクッとして、手を払いのける。


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