運命の初恋愛
#02 【壊れた記憶】
「あの……」

せっかく、勇気を出して挨拶したのに、案の定、無視された。


最初から期待はしていなかったけど、



「こんにちはっ」



悔しいから、もう一度、声をかけてみた。



すると、足長さんが、スッと顔を上げた。



「…………」


無言のまま、だけど。



ドキン――。


切れ長の目が、私を捉えた。


ぱっと見、特別に惹かれるような顔立ちじゃないけど、
パーツはちゃんと整っている。


見つめ合ったままの状態に、私はドキドキして、視線を横にそらした。



あ……。



さっきは離れていて、よく見えなかったけど、後頭部にガーゼが貼ってある。



――ケガ?




「あの……別に、怪しい者じゃ――」



…………。


ないとも言えないかな。



「もしかして、怒ってますか?」


「…………」


何も言わず、足長さんは、また地面の方を向いた。



完全無視。



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