運命の初恋愛
#07 【涙と抱擁】
ずっと、気になっていた。

いつも寂しそうな雰囲気の、足長さん……。


どんな風に笑うんだろう、って。


思った通りだった。


ううん。
それ以上に、優しい微笑みだった――…


「笑ったの!?」

「はい」


「…………」

清先輩も驚いている。


「でも、あの瞬間だけ」

「あの瞬間?」


「はい。私の――…」

言いながら、さっきと同じ顔を作る。


「きっ、木崎!?」

「この変顔を見た瞬間」


私の顔を見た瞬間、先輩が下を向いて、


「くくっ……っかし」


笑い出した。



「そんなに可笑しいかな?」


横目で足長さんを見る。


うーん……。

もう笑ってくれない。


残念。


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