運命の初恋愛
「寂しい?」

落ち着きを取り戻した先輩が、そんな私に気づいた。


「いえ、そんな事……」

「足長さんを木崎に任せて、正解だったな」


「?」

「笑顔にする――。僕たち病院のスタッフにも出来なかった事だよ」


先輩の言葉に、つい欲が出る。



「何か、感じてくれたかな?」


あの一瞬だけでも、楽しいって、思ってくれたかな?


……思って、くれたよね?
そうだと、いいな――…



「木崎、明日もある」

先輩が言った。



「少しずつ、一度にたくさんを求めずに。無理せず、無理させず、でしょ?」


「先輩、いい事言う」



「見直した?」

「もちろん」



明日がある。

永遠にある。

このとき、私は……。


この毎日がいつまでも続くものだと思っていた。

明日は無限にある、と――。



だけど、違ったね。
勘違いだった。

全てを取り戻した、あなたは……。


< 39 / 213 >

この作品をシェア

pagetop