運命の初恋愛
#12 【婚約者】
『招待状
 市民病院の皆様に、
 感謝の気持ちを込めて
 5月23日、午後3時から
 カン・ジュヨン、
 ピアノ演奏会を開きます――』



「よかったな、木崎」

招待状を持ってきてくれた、清先輩が言った。


「あ……3時からだ……」

仕事が終わってから、聴きに行ける。


「ジュヨンさん、『演奏会は午後の3時からにしたい』ってお願いしたらしいんだ」

「え」


「きっとジュヨンさん、『足長さん』として木崎と過ごした時間を、無意識に憶えているんじゃないかな」

「…………」


「きっとそうだよ」



なんて、先輩は、そう言ったけど。
それは違うよね。

そんな事、ある訳ないよね……。



「じゃあ、来週」

「はい」


来週また、ジュヨンさんに会えるんだ。


ピアノを弾く足長さん。

見てみたいな……。



そして、演奏会当日――。


「ここで……?」


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