星にキス。




俯き、両手で顔を覆う。


「受験なんて、誰だって不安だよ。 ただ、ナツは少し人より受験が早いだけ。 あたしだって、1月のセンターを考えると不安だよ……」


ずっと、ずっと……。 不安だった。

クラスの子の一部は、自己推薦で面接のみの受験。

結果がどうなったかは知らないけど、あたしのように、筆記試験を受けた子が少なくて、まだ半数以上は受験すらしていない。


半数以上は、センター試験が本番。


だから…… 受験に対しての不安を相談できる人が…… 友達がいなくて。

ずっと、一人で抱え込んでいた。


それでも、勉強している間は良かった。


なにもかも、嫌なことを忘れられて目の前の問題に集中できる。


でも、ひとたび問題から離れたら“不安”があたしに襲い掛かってくる。


そんな、毎日をずっと…… 過ごしていた。




< 89 / 155 >

この作品をシェア

pagetop