涙飴
あの時五十嵐が居なかったら、あたしはどうしていたんだろう。


今のあたしは、五十嵐が居るからなんだって改めて思った。

いっつも、助けてもらってばかり。

なんだろう……五十嵐の事を考えると、凄く温かい気持ちになる。
頭が一杯になる。


「何ニヤけてんの?」


あたしニヤけてた!?
あたしは緩んだ口元を引き締める」


「に……ニヤけてないよ!美津菜は凄いなって思ってただけ。だから頑張ってね」


美津菜はあたしの顔をジロジロと見て来る。


「まぁ誰の事考えてたのか知らないけど、ありがと」


「へ?美津菜の事に決まってんじゃん!」


もし大地が美津菜の様に敏感だったら、あたしの気持ちにも直ぐに気付いていたんだろうな。


「あたしのこと考えてあんなニヤニヤしてたら気持ち悪いんですけど!」


気持ち悪い!?
でも確かに……。

美津菜はあたしが五十嵐の事を考えてたのを分かっていたみたいだけど、でも多分勘違いしている。

あたしはそういう意味で五十嵐の事を考えていたんじゃない。


ただ、大事な存在なだけ。
そこに、美津菜が考えてる様な感情はない。
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