涙飴
「大地は強いよ。
あたしなんかより」


あたしがそう呟くと、大地は首を振る。


「俺より、姫月の方がずっとつえーよ。

だってさ、俺が言うのもなんだけど…結果分かってて告白なんて、なかなか出来る事じゃねーし。


付き合う、付き合わないとかじゃなくて、伝える事に意味があるんだなって思った」



伝える事に意味がある。

それは、あたしが五十嵐から教わった事だ。

五十嵐が居たから、あたしは今、こうして笑って大地と話せるんだ。


五十嵐が居てくれたから…。


「あっなんか引き止めちゃってごめんな!

なんか用事あるんだろ?」


大地のその一言で、我に返る。


「そうだ!
でも久々に大地と話せて良かった。

じゃあね」


あたしは大地にそう別れを告げると、小走りで目的地のテントまで向かった。
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