涙飴
多分紙皿取って来ると言ってあの場を離れてから、10程経っている。

時間掛かり過ぎだよね…。


テーブルの上には、紙皿や紙コップ、割り箸などが並べてあり、どれも殆ど無くなっていた。

あたしは紙皿を6枚取る。

と同時に後ろから肩を誰かに叩かれた。



「えっ」


びっくりしてつい声が出てしまった。


振り向くと、そこには五十嵐が立っていた。


「お前おせーよ」


そう言って五十嵐は歩き出した。
あたしはその後ろをついて行く。



「なんで来たの?」


あたしがそう尋ねると、五十嵐は振り向いて足を止めた。

「織原が遅いから様子見に来たんだよ」


あたしが五十嵐の隣に来ると、五十嵐はまた歩き出した。

心なしか、さっきよりもペースが遅くなっている気がする。


「…ありがとう」


「別に何もしてねぇし」



あたしは『そっか』と言い、黙って隣を歩いた。


自然と笑みが零れる。

足下に咲いている白い花が、優しい風に包まれ心地良さそうに揺れていた。
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