涙飴
「いいじゃん!
めちゃめちゃ嬉しかったんだから。
悠士かっこよかったよ!」


美津菜がそう笑顔で答えると、鳴海の顔が先程にも増して赤く染まった。


付き合ってからまだ半日も経っていないにもかかわらず、そこにはもう二人だけの世界が出来上がっていた。

いつの間にか名前で呼び合うようになってるし。


そんな二人を見ていると、あたしまで嬉しくなって来る。



「それよりさぁ!」


いきなり、さっきまでお惚気ていた美津菜が真剣な表情でずいっと顔を近付けて来た。

「……何があったの?」


「何がって……?」


「だーかーらぁ!
……五十嵐と、何かあったんでしょ?」



そんな素振りは一切見せていない筈なのに、そんなのはお見通しと言った感じで美津菜は聞いて来た。


正直、話そうかどうか昨日の夜からずっと迷っていた。
だけど、結局何も出来なかったあたし自身への恥ずかしさから、口に出せないでいたのだ。
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