涙飴

劣等感

「それで、なんて言ったと思う?


……『嬉しいけど、俺が本当に欲しいのは…お前なんだよね』

って言ってくれたんだぁ!」


くっさぁ……。
頬を赤らめている美津菜には悪いとは思いながらも、あたしは心の中でそう呟いた。


「あ、今、クサい台詞って思ったでしょ?」


惚気ながらも鋭い突っ込みをする美津菜。


「確かに、もしあたしが第三者の立場で聞いたらクサいと思っただろうけど、自分が言われるとなるとまた別なんだよ!」


そう言って、また昨日の恋愛橋での一部始終を話し始めた。



帰りのバスにもかかわらず、車内はかなりの騒がしさだった。

皆疲れているかと思いきや、行き以上の熱気が漂っている。


特に美津菜は、昨日の告白が成功した事により、朝からずっとこんな調子だ。


「おい美津菜!
そんなことベラベラ喋んなよ!
恥ずかしいだろ?」


そう顔を赤くして話す鳴海の胸元には、真新しいネックレスがキラキラと光を反射し、その存在を存分に主張している。
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