涙飴
あたし達はファミレスを出ると、近くの本屋へ足を進める。

歩道の左側は道路、右側にはカフェや服屋、雑貨屋など、お洒落な店が隙間なく並んでいる。

そして、目と鼻の先にある交差点の一角に今向かっている本屋があった。


「そういえばここら辺って華耶ん家の近くだよね」


「ふーん……行ったことあんの?」


「行ったことは無いけど、前に華耶が言ってたから」


聞いた時、近くに色んな店があって羨ましいと思ったのを思い出す。


「大地何か欲しい本でもあるの?」


「いや…まあ……ある?」


「あたしに聞かれても…」


ただの暇つぶしだろうか。
にしても何処か腑に落ちない。
大地が本屋を指定して来たにも関わらず、本が買いたい訳ではないみたいだし。



……妙な胸騒ぎがする。
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