涙飴
そんな話をしている間に、あたし達は本屋の前までやって来た。

入ろうとしたけど、大地は足を踏み入れようとはしない。


「入らないの?」


不思議に思い尋ねると、大地は複雑な面持ちで顔を上げる。


「……やっぱりいい」


「なんで?行きたかったんじゃないの?」


大地の心境に何があったのか、全然分かんない。
何か気に食わない事でもあった?


今までの記憶を必死に手繰り寄せていると、大地はスタスタと交差点の方へ歩き出した。


「えっ!?
本当に行かなくていいの?」


あたしは驚きながらも急いで大地の隣に行く。


「……うん」


交差点を渡ろうとしたら、丁度信号が赤に変わったのであたし達はそこで足を止めた。





「もしかして……大地君?」
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