俺はお前だけの王子さま
俺は脱衣場で浴衣をきた。


脱衣室を出ると

浴衣姿のヒロキが
自販機でポカリを買って
俺を待っていた。


「あっちぃな。風呂入りすぎた」


そう言いながら
浴衣の胸元をパタパタさせるヒロキ。


近くの女子が黄色い声を出した。



ヒロキはポカリを一口飲むと
俺にもポカリを差し出した。


「ん、飲むだろ?」


「…………」


俺はそれを受け取りながら


「ヒロキ…悪い。」


「ん?」


俺はヒロキから少し目を反らした。



「俺も…やっぱ好きだわ」


言ってから



“やっぱ”とか…

俺だせぇ



気恥ずかしさをごまかすように
俺はまだ濡れてる前髪をかきあげた。


そんな俺を見てヒロキはにやりと笑った。


「辛気くせ~のやだし。
どっちが落とせるか賭けようぜ?」



「…………」


こいつは……



呆れる俺に

ヒロキはいつもの笑顔を見せた。



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