俺はお前だけの王子さま

ヒロキの本音

波の音しか聞こえない。

海水浴場の人々が小さく見える


そんな砂浜まで歩いたところで
水梨くんと私は腰をおろした。


すっかり乾いた肌は
日焼けして乾燥していた。



他愛もない話で
笑顔を見せる水梨くん。


いつの間にか水梨くんは
いつもの水梨くんに戻ったように終始軽く笑っていた。


お互いに本音を少し隠した
和やかな雰囲気。


今日で終わりにすると言った
水梨くん。


本当に話すことは
他にあるはずだった。


だけど……

どうすれば良いか分からない。


水梨くんは最後の時間を惜しむように明るく笑っていた。


時間の感覚がない砂浜で

潮が少し満ちて

きっと、そろそろ戻らなきゃいけない…


そんな雰囲気になった頃

ぽつりと水梨くんが
切り出した。


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