俺はお前だけの王子さま
「愛子ちゃんに聞いていい?」


「ん?」


「もしもさ…」


「…うん?」


「もしも春馬がいなかったら…」


「え…?」


「もし春馬がいなかったら…
俺を好きになってた?」


「………」


少し真剣な顔をした水梨くんに
ドキリとした。


水梨くんの質問の真意がよく分からない。


だけど…


私は揃えた膝の上で
きゅ…と両手を握った。


「それは…関係ないかな。
王子くんと出会ってなくても…水梨くんは水梨くんで、きっと友達としてしか好きになってないと思う…」


「…………」


「ごめんね…」


申し訳なく謝る私に
水梨くんは優しい笑顔を見せた。


「そっか。じゃあマジで諦めなきゃな…」


「………」


水梨くんは
私から視線を反らすと

腕で膝を抱えて頭を下げた。


< 254 / 558 >

この作品をシェア

pagetop