俺はお前だけの王子さま

「…なに?淋しかった?」


「え…?」


俺の質問に渡瀬はかぁ…っと頬を染めた。


「そ、そんなことないよ~」


渡瀬は慌て笑った。



だけど俺にはそれが無理して笑ってんのが分かってしまった。



渡瀬の性格を知ってるつもりで

俺はまた渡瀬にこんな顔をさせてしまったのか――…





そんな事を思っている内に俺の家の前についた。


暗証番号を押して門を開ける俺の背後から


「なにここ…ここが家?」


目を丸くする夏木と渡瀬。


「あぁ…?そうだよ」


俺は答えながら敷地に入った。


「ねぇ、ここ何坪あるの?!」


石畳を歩きながら
夏木は俺を質問責めにする。


「千坪くらいあるよね?」


「あほか…ねぇよ」


「なんか…組長とかの家って感じ!」


組長の家って…

まぁ確かに和風だけど。


「お金持ちとは知ってたけど…お父さん何してる人?まさか本当に組長さん?!」


…んな訳あるかよ。


騒ぐ夏木の横で
渡瀬はただ呆然と声も出ないらしい。


まぁ…ボロアパートの住民には敷居が高いかもな。


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