俺はお前だけの王子さま
歩きながら自然と2組に別れる。


「王子くん、おはよう…」


まだ喋ってなかった渡瀬が、少しはにかみながら俺の隣を歩く。


「あぁ…はよ」


渡瀬と俺が接するのも
海の日以来だった。


久しぶりの渡瀬の感覚に

なんとなく、あの日の出来事が嘘のように感じる。



「なんだか王子くんと久しぶりで緊張しちゃうな―」


「まぁな…つか渡瀬ってマジで連絡しねーのな」



渡瀬からは海の日に一度

《ありがとう嬉しかった》

的な内容のメールがきて以来、
全く音沙汰なしだった。



俺の言葉に
渡瀬は俺をみて少し眉を下げた


「だって…王子くんからも全然来ないし王子くんはそれが良いのかなって思っちゃって」


「あ~…まぁ気楽っちゃ気楽だけどアドレス交換の意味まじでねぇな」



はは…と笑う俺に


「笑えな~い」と笑う渡瀬。




俺はそんな渡瀬をまじまじと見た。


なんか渡瀬に違和感を感じる。


緊張のせいか?


いや多分違う…



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