俺はお前だけの王子さま
「渡瀬…」


俺は渡瀬の首筋から唇を離した。


優しく渡瀬の肩をつかむと
そのまま渡瀬の顔を見た。


渡瀬は潤んだ瞳で俺を見つめる。


「渡瀬……俺…」


「ん…?」


「………」


なんて伝えれば良いのか…


俺は渡瀬のおでこに自分のおでこを付けた。


そのまま言葉を探しながら唇を軽くかむ。


卒業したらアメリカに行く


どんだけで帰ってくるかはわかんねぇ


だから…一緒に来るか?


いや違う。

そんなのは非現実的だ。


海外で大学行きながら働くんだし、現実がそんな甘くないのは分かってる。


しかも渡瀬なんて、つい最近
初めて飛行機に乗ったようなやつだ。


英語だって夏休みの課題レベルでつまずいてる。


そんな渡瀬をアメリカに連れていくなんて…




< 340 / 558 >

この作品をシェア

pagetop