俺はお前だけの王子さま
渡瀬はもう一度箱を覗き見た。


「本当に…まだ新品みたいに
綺麗だね」


「………」


そりゃ新品だからな。


「お礼…どうしよう」


渡瀬は俺を見た。


「んなもんいらねぇし」


「…そんな訳にはいかないよ」


「貧乏人が見栄はんな」


「なっ…」


渡瀬は俯いた。


「だけど…やっぱり…」


まだ言い返す渡瀬。


「………」


まじ強情。

マジうざい。


やるって言ってんだから素直によろこんどけば良いだろ。


俺は渡瀬を見た。



「んなに言うなら土下座しろよ」




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