俺はお前だけの王子さま
私の胸が重たくなるのは

王子くんの良さを知っているのに桂先生の言葉に反論できないから。


桂先生の言葉を受け流すたびに王子くんに対して申し訳ない気持ちになる。


自分が恥ずかしくなる。



「お前もそう思わんか?」


「え…?はぁ…」


前列の生徒が話しをふられ、
気まずそうに俯いた。



学年主任である桂先生の言葉はいつも正論で生徒を初め教員も誰も反論出来ない。


桂先生はうちの高校でそういう立場の先生だった。






「進路を考えるということは、自分と向き合うということだ。」


桂先生は諭すように語り初めた


「今すぐに決められなくても良い。だけど考えるという姿勢が大切なんだ」


桂先生の言葉が教室に響く。


「自分の可能性と向き合う事は怖いことでもある。逃げたくなる気持ちもあるだろう」


桂先生は教室を見渡した。


「そしてその為の先生であり、学校なんだ。どんどん相談して欲しい。」


桂先生は優しく微笑んだ。





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