俺はお前だけの王子さま
「お…いや…何も泣かんでも良いだろう?」


桂先生は普段従順な私の反論に少し慌てた様子だった


私は思わず流れた涙をふくと、続けた。


「す…すみません。私も王子くんをよく知るまではいい加減だと思っていました。だけど本当は凄く努力もしているんです。」


桂先生は腕を組ながら、嘘を聞くように首をかしげて私を見ている。


私は桂先生にもわかって欲しかった。


「王子くんは誤解されやすいけど…本当に優しいんです」



「…………」


黙りこむ桂先生。


やっぱり伝わらない…?

私はまた赤くなって背中をちぢこめた。











ヒュ~♪


静かな教室にいきなり響いた
口笛。


え…?


教室中の生徒が口笛のした方を見ると

後ろの入り口に水梨くんがもたれ掛かっていた。


「王子様、愛されてんね~」


水梨くんはニヤニヤしながら廊下を見た。


「黙れよ…」


水梨くんの奥には耳を少し赤くした不機嫌な顔の王子くんが立っていた。


「お前ら…!今までどこでサボってたんだ。」


桂先生が怒鳴った。


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