俺はお前だけの王子さま
王子 春馬・ｓｉｄｅ
アメとムチ
第二音楽室は部活の練習以外ではあまり使われない。
くそ寒い屋上とは違い、気密性の高い第二音楽室にはストーブも完備されていて
俺とヒロキのお気に入りのサボり場だったりする。
渡瀬の細い腕を掴みながら
チャリ…と、くすねた鍵を指で回しドアを開ける。
中に入ると渡瀬の腕を離して
音楽室のドアを閉めた。
さっきまでヒロキとここでサボっていたから、余韻で教室の中はまだほんのり暖かい。
俺はストーブをつけると換気に窓を少し開けた。
廊下から次の授業を知らせる予鈴が聞こえてくる。
必然的に次の授業をサボることが決定した。
渡瀬をサボりに巻き込むのは
二回目だな…。
「なに突っ立ってんの？」
俺は入口に立ったままの渡瀬を見ながら段差のある床に腰を落とした。
