俺はお前だけの王子さま
「…………」


そんなすがるような私に

王子くんは無言のままスーツの胸元から一枚のカードを取り出した。


――…え?


「なにそれ…?」


王子くんはカードの表をひらりと私に見せた。


“3025”の数字が書かれているそのカード。


「ホテルのルームキー」


王子くんが言った。


「俺は泊まれないけど今夜予約したから。」


「…………」


「最終便までまだ時間あるし」


王子くんはそう言うと私の手をとりタクシーを停めた。


王子くんに手をひかれながら、私は涙が止まらなかった。







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