俺はお前だけの王子さま
俺にもたれるようにふらふらと歩く渡瀬。


こんなになるまで気付かなかったなんて…


とりあえず横にしてやらないと…


俺は渡瀬をロビーのソファーに座らせるとフロントへ向かい


そのまま急きょホテルの部屋をとることにした。


エレベーターに乗ると、幸い人は他に居なかった。


俺は渡瀬を抱き上げる。


「え…いいよ、歩ける…」


「青い顔して強がんな」


俺の言葉に渡瀬の瞳が少し潤んだ。


「……ごめんね」


俺は小さくそう呟く渡瀬を抱いたまま部屋に向かった。







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