俺はお前だけの王子さま
俺たちは籍を入れた今日から一緒に暮らすことになっていた。


住むのは俺の家だけど。

俺の両親はとにかく不在だからわざわざ別に探すのは辞めた。


こいつの性格的にも妊婦渡瀬をあんまバタバタさせたくねぇし。


まぁとにかく、今日からずっと一緒なんだと思うと未だに少し信じられない。



「こうやって一緒の家に帰るのってこんなにも幸せなんだね」


俺がぼんやりしていると渡瀬が不意にぽつりと言った。


「なんだか幸せすぎて怖いなぁ」


渡瀬ははにかみながら足元の小石をコンと蹴った。


軽く転がる小石は草の中に消える。


「……………」


俺はそんな渡瀬の手を取ると、静かに指を絡めた。


もし本当に何かあったとしても

例えば渡瀬が不安な時にも


これからはこんな風にずっと傍にいられる。


俺が守ってやれる。


夫婦とか結婚とかまだピンとこねぇけど


それだけは実感できる。


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