俺はお前だけの王子さま
月明かりの薄暗い部屋の中


俺がおやすみと言った後も愛子はもぞもぞと体勢を変えている。


臨月に入った頃から愛子は腹が苦しくてなかなか寝付けなくなったらしい。


「…また腰がえれーのか?」


いつまでも寝つけない愛子に俺は声をかける。


「ん~…ちょっとだけ。」


「んじゃあっち向けよ」


「ん…ごめんね。」


愛子は遠慮がちにもぞもぞと俺に背を向けた。


俺はそんな愛子の腰を寝ながら軽くさすってやる。


「あ~春馬の手やっぱり楽になる~」


「寝れそうならこのまま寝ろよ」


「うん。ありがとう~…」


愛子は気持ち良さそうな声を出した。


男の俺には愛子のしんどさとかわかんねぇから、こんな事しかしてやれないけど。


しばらく擦っていると、愛子はふいに言った。


「こんな二人きりの夜もあとちょっとだね」


「そうだな」


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