俺はお前だけの王子さま
渡瀬は揺れる瞳で俺を見た。


「でも同じ委員の王子くんにも言うべきだった…本当にごめんなさい。」


「…………」



むかつく

マジで来ないのかよ


むかつく…



「当日は…俺が渡瀬の分も仕事するわけ?」


「うん…ごめ…」


ふざけんなよ


「ふざけんな…ッ」


気が付くと俺は渡瀬に怒鳴っていた。

渡瀬の体がびくっとした。


渡瀬と目が合って俺は目を反らした。


「…………」


俺はそのまま渡瀬を置いて教室に戻る。


渡瀬は立ち尽くしていた。



家庭の事情ってなんだよ


ふざけんな…ッ


なんで来ないんだよ…


教室の扉を乱暴に開けると
教室にはヒロキがいた。


「おまドコ行ってたんだよー」


「………わり」


乱暴にかばんを取る俺にヒロキが近付く


「なんかお怒り…?」


ヒロキの顔を見る。


こいつは渡瀬が修学旅行不参加ってこと


まだ知らないんだよな…


「…なんでもねー」



俺はなんとなく言えなかった。

傷付くのは目に見えていた。






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