キミといたくて ~YUI~

卒業まであと2週間。

「佐久間、ちょっとこっちに」

放課後のホームルームが終わり、みんなが帰りはじめたとき、担任の先生に声をかけられた。

何を言われるのか、大体の予想はつく。

案の定、先生は、廊下までついてきたあたしに、こう訊ねてきた。

「どこを受けるか決まった?」

願書をまだ出していないことを、ずっと心配してる先生は、うつむくだけのあたしに、深いため息をつく。

「もう日にちがないんだから、ちゃんと親御さんと相談して」

「……はい」

手もとには、2枚の願書。

奈美たちと受けるはずだった西高と、真由美と亜矢ちゃんが受ける東高。

あたしはまだ、どちらを受けようか迷っている。
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