過去の秘箱


私の心は複雑…細い糸が絡んで絡んで……もう元には戻れない。


もしも……あんたの顔が…お父さんに似ていなかったら、私はその時……思い止まったかも知れない。


私は、叔母ちゃんと共に歩き出した。


詩織の突き刺す針を背に受けながら……それでも私は歩く。


刺す方も刺される方も…多分同じぐらいの痛みを伴う別れ……。


詩織は思っているだろう……母に捨てられ、姉に捨てられ…何なのこれ?って……どうして私を置いて行くの?って……。


真実は秘箱の中……。


ぽとっ…ぽとっ…涙こぼしながら…私は秘箱抱き家を後にした。


誰にも開けさせない。


開ける事は出来ない。


今……鍵を閉めよう。



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