過去の秘箱


「正男さん!もう出ていってちょうだい!」


部屋に戻って来た叔母ちゃんが、大きな声を出した。


「何があったのかはわからないけど、とにかくこの部屋から出て行って! あなたがいると、沙織の気がおかしくなってしまうよ」



先生や看護婦さんもバタバタと入って来て、私はベッドに寝かされ注射をうたれた。


そのまま眠りの中へ……。


目が覚めた時には…また一番先に叔母ちゃんを見つけた。


「沙織…もう心配しなくていいよ。正男さんは、もうここには来ないからね」


叔母ちゃんは夫と二人暮らしだった、子供は既に結婚して家から出ていた。


退院後…沙織は、崩れた城を引き上げ、叔母ちゃんと暮らす事になった。


詩織と遠くに離れる事は、沙織にとって辛い思いはあったけれど……詩織は徹とか言う男と同棲中……将来は結婚を約束しているので、私はここで頑張るから、お姉ちゃん大丈夫だよ……と言った。



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